がんばらにゃ2012年7月号
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2012.7月号4食の安全安心を考えるVol.2食にまつわるちょっとした疑問について科学ライターの松永和紀さんがわかりやすくお伝えします。PROFILE食品の安全性や環境影響等を取材している科学ライター。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち独立。「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞2008を受賞。消費者団体「FOOCOM」(フーコム)を設立し、「FOOCOM.NET」(http://www.foocom.net/)を開設した。酒を愛する夫、受験勉強中の娘とのてんやわんやの日々も楽しんでいる。松永 和紀さん福島原発事故後の福島県民の被ばくよりも、喫煙や受動喫煙、肥満などの発がんリスクの方が大きいことが、疫学調査(大人数の人を対象とした調査)などからわかっている。※1:夫が非喫煙者である女性のグループに対し、夫が喫煙者である女性のグループのリスク※2:BMI(身長と体重から計算される肥満指数)23.0~24.9のグループに対し、BMI≧30のグループリスク※3:1日当たり420g摂取のグループ対し、1日当たり110g摂取のグループのリスク(中央値)内閣府のパンフレット『「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」報告書に基づいた健康への影響とこれからの取組み』(平成24年2月第1版発行)より放射線の体への影響を科学的に理解しましょうがんで死亡する割合が上昇?低線量被ばくリスクは小さい? 放射線、放射性物質、放射能汚染…。ドキッとする言葉です。原子力発電所事故から1年以上たちますが、今も慣れない、聞きたくない、という人が多いでしょう。でも、汚染が起きた以上、その性質をしっかりと理解して、うまく対処しなければなりません。 放射性物質は、放射線を出して違う物質に変化する性質を持ちます。放射線は、生き物の細胞に当たると、DNAという物質を傷つけたり、水分子を活性酸素に変え、活性酸素がDNAを傷つけたりします。そのため、受けた放射線の量が非常に多いと、細胞は大きなダメージを受け、生き物が死ぬ場合もあります。しかし、量が少ないと影響は小さくなり、数百ミリシーベルトを下回る線量では、急性症状(すぐにあらわれる症状)はありません。ただし、低い線量でも、DNAの損傷ががんにつながる場合があり、数年後〜数十年後にがんで亡くなる人が出てきます。 では、がんで亡くなる割合は? 原爆被害者の調査などから、100ミリシーベルトを被ばくした場合にその後にがんで死亡するリスクは0.5%上がると試算されています(内閣府資料より)。 100ミリシーベルトを下回ると、よくわかりません。日本人はもともと、喫煙や飲酒などにより30%はがんで亡くなっています。そのため、独立行政法人放射線医学総合研究所は、100ミリシーベルトの被ばくにより、がんで死亡する人が1000人中300人から305人に増えると推算しています。それを下回る低線量では、ほかのリスクが大き過ぎて、放射線被ばくによる死亡率をほかの要因と区別して突き止めるのが難しいのです。 逆に言うと、低線量の放射線によるがんリスクは、喫煙などに比べて高くないと思われます。また、低線量の被ばく影響については、がん以外の病気も調べられていますが、現在のところは、がんだけ、とする説が有力です。 国や福島県などの調査推計では、同県の一般住民が事故後4ヶ月間に外部から放射線にあたって被ばくした線量は、99%の人たちが10ミリシーベルト未満、食品として食べたりした内部被ばく線量もほとんどの人が、1ミリシーベルト未満。県関係者などは今、ほっと安堵しつつ、環境中の除染を進め、食品も検査を励行して監視を続けています。喫  煙受動喫煙肥  満野菜不足東京-ニューヨーク0.2ミリシーベルト程度1日平均2リットルの水道水を飲み続けたとしても発がんのリスクは0.01%未満100ミリシーベルトの放射線被ばくによる発がんのリスクは、このクロロホルム摂取よりも大きいです。1,000~2,000ミリシーベルト相当100~200ミリシーベルト相当200~500ミリシーベルト相当100~200ミリシーベルト相当※1※2※3(航空機旅行(往復)での 高度による宇宙線の増加)クロロホルム(水道水中に含まれ、発がん性が懸念されているトリハロメタン類の代表的な物質)発がんリスクの要因等

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