がんばらにゃ2013年3月号
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食の安全安心を考えるVol.10食にまつわるちょっとした疑問について科学ライターの松永和紀さんがわかりやすくお伝えします。2013.3月号4PROFILE食品の安全性や環境影響等を取材している科学ライター。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち独立。「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞2008を受賞。消費者団体「FOOCOM」(フーコム)を設立し、「FOOCOM.NET」(http://www.foocom.net/)を開設した。昨年末『お母さんのための「食の安全」教室』(女子栄養大学出版部)を刊行。松永 和紀さん身につけてほしいメディアリテラシー 新聞やテレビ、雑誌などがいつも本当のことを伝えるとは限りません。記者の取材不足や、視聴率、販売部数を上げたい、というような気持ちが、往々にして科学的におかしな報道につながります。情報を吟味する「メディアリテラシー」を身につけてください。食にかんする情報の主な判断ポイント新聞やテレビの報道正しいとは限らない ○○には発がん性がある。△△を食べたらインフルエンザを防げる…。食品にかんするさまざまな情報がマスメディアにあふれています。 しかし、その多くは科学的根拠が薄いものです。たとえば、動物実験や細胞を用いた実験で発がん性があったり健康効果があったりしても、同じことが人で起きるとは限りません。また、生き物に対する影響は、プラスの効果にしろ、マイナスの悪影響にしろ、摂取量によって著しく変わります。ところが、動物や細胞に、人では絶対に食べられないような量を与えた実験結果を、大々的に報道するメディアが多いのです。 なぜ、マスメディアが安易な報道をしてしまうのでしょうか?一つには、食の科学に詳しい記者が少ないからです。脚光を浴びて宣伝したい研究者や企業、不安をかき立てて活動したい評論家などを見破れません。また、「効く」「危ない」というようなセンセーショナルな情報の方が人々の関心を集めやすく、視聴率が上がったり販売部数が増えたりするため、メディア自身も大げさに伝えがちです。 報道が多少行き過ぎでも、危なそうなものについては注意喚起してくれるからいい、と言う人もいますが、私はそうは思いません。報道に惑わされ、本当に注意すべきことに気づかず、気にしなくてよいことで大きな不安に陥っている人が多いように見えます。メディアを活用しつつも、そこから得られる多岐にわたる情報を取捨選択し、自らも適切な情報を発信してゆく「メディアリテラシー」が今、強く求められています。 報道をそのまま信じ込むのではなく、それをきっかけに調べてみよう、と思ってください。企業に直接質問したり、保健所に尋ねたり。生協で学習会を聞くのもとても良い方法です。調べて意見交換して、慎重に判断しましょう。調べて意見交換慎重な判断を● 食品をよい、悪いと断定するわかりやすい情報はまずは、疑ってかかる 食の世界は複雑。食べる量によっても影響度は大きく異なり、 単純に判断できない場合がほとんど。● 学術誌などで発表されたたしかな研究結果か? 学会発表やメーカーによる記者会見などは、だれの審査も受けていないので 信用度が低い。● 人での調査結果か、動物や細胞での実験結果か? 動物や細胞実験の場合は、人にはまったく当てはまらない場合がある。● 人での調査結果の場合、個人の体験談か少人数の調査か、 数万人程度を対象とした調査結果か? 体験談はあてにならない。国立がん研究センターや大学などによる 大規模調査は、信頼がおける。2013年度に松永先生による講演会の開催を予定しております。詳しくは今後のがんばらにゃなどでご案内いたします。
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