がんばらにゃ2013年10月号
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2013.10月号4食の安全安心を考えるVol.14食にまつわるちょっとした疑問について科学ライターの松永和紀さんがわかりやすくお伝えします。食品の安全性や環境影響等を取材している科学ライター。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち独立。「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞2008を受賞。消費者団体「FOOCOM」(フーコム)を設立し、「FOOCOM.NET」(http://www.foocom.net/)を開設した。昨年末『お母さんのための「食の安全」教室』(女子栄養大学出版部)を刊行。松永 和紀さんアルミニウム対策はバランスよい食事から 食品中のアルミニウムって危険なの? 食べてはいけない食品はなに? 最近よく尋ねられます。厚生労働省が2013年6月にアルミニウムの入った食品添加物の規制強化を決めたため、不安が高まっているようです。でも、誤解している人もちらほら。説明します。 アルミニウムは地球上に豊富にあり、自然の食品や水などにも微量含まれています。それに、パンやお菓子を膨らませる膨張剤(ベーキングパウダーなど)、漬物の色止めやうにの型くずれを防ぐミョウバンなど、食品添加物にも含まれています。特に、膨張剤はアルミニウムが入っているとふんわり膨らむため多く使われてきました。昔から利用されてきた添加物であり、使用制限はこれまでありませんでした。 ところが、研究が進んで「取り過ぎはよくないようだ」ということになったのです。人での悪影響ははっきりしません(一時、鍋から溶け出すアルミニウムがアルツハイマー病の原因だとする説が主張されましたが、今では根拠はないとされています)。しかし、動物実験で大量投与すると腎臓などへの影響があり、人でも注意しようということに。国際的な委員会で2011年に決まったのは、人の摂取量の1週間の上限(耐容週間摂取量)を暫定的に、体重1.0 kgあたり2.0 mgにしようということでした。体重10 kgの子どもであれば週に20 mgまで、体重50 kgの大人であれば週に100 mgまで、ということです。 食べる量がこの目安の数値を超えたらすぐに健康が損なわれる、というわけではありません。この数値以内に摂取量がおさまれば問題ないのだから、努力して守ろうね、ということです。 こうした国際的な流れを受けて、日本人がどれくらいアルミニウムを食べているかを厚労省が調べたところ、困ったことがわかってきました。ほとんどの人は目安を下回っています。ところが、小児(1〜6歳)のうち5%の子どもは、この目安を超えているという推定になったのです。蒸しパンやホットケーキ、ドーナツなど膨張剤を多く使ったパン・菓子類などを多くとる子どもが、超えているとみられています。これらの食品の含有量は製品によってまちまちですが、もっとも多いものではホットケーキ1枚にアルミニウムが20 mg程度含まれる場合もあるようです。 そこで、厚労省はアルミニウム含量の低い添加物を開発したり、パン製造時に膨張剤の使用量を減らすように業界に求めています。また、使用基準も作ろうと準備を始めました。 たしかに、業界や行政の対策が急がれます。でも、私は同時に、子どもの食生活見直しも重要だと思うのです。ついつい、口当たりのよいこの膨張剤が入った菓子などに含有ほどほど食べるのは問題なしPROFILE手の食品を、子どもにたくさん食べさせていませんか? 偏った食生活は、アルミニウムの害の前に、肥満につながりやすく、食物繊維、ビタミン、ミネラル類不足など、ほかの深刻な影響をもたらしかねません。まずはバランスのよい食生活が大事です。膨張剤を多く使ったパン・菓子類は、おやつでほどほどに。これなら、子どもは喜びますし、アルミニウム摂取の上限の目安を超えることもなく、なにも問題ありません。ほどほどにね

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