がんばらにゃ2014年3月号
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くらしの安心を考えるVol.59月と1月に引き続き、福井県済生会病院の田中延善院長先生が、病気や健康、生活習慣などの話題についてわかりやすく解説します。2014.3月号4PROFILE1949年福井県生まれ。73年金沢大医学部卒。同年同大医学部第一内科入局。国立がんセンター研究所・内科、金沢大医学部第一内科助手、講師。82年ロンドン大学ロイヤル・フリー病院内科客員研究員。87年福井県済生会病院内科。95年副院長。09年から病院長。99年から金沢大学医学部臨床教授。08年から福井県肝疾患連携拠点病院責任者。福井県済生会病院院長 田中延善 先生 これまで2回にわたり、食や生活習慣(ライフスタイル)が動脈硬化やがんと深く関係していることをお話ししてきました。福井県は平均寿命が男女とも全国上位で推移している健康長寿県ですが、その理由を考えてみました。ところで、福井には「食と生活習慣」のあり方を説いた多くの先人たちがいたことをご存知でしょうか。食のあり方について、道元禅師は、食物の全てに命があり、人は動植物の命を食べることで生かされていることから、食事は命と向き合う時間であると説いています。また、食の作法については、食事中に話をしない、早く食べ過ぎても遅すぎてもいけない、口いっぱいにほおばらない、物を噛む音や器の触れる音をたてないことなどを戒めています。雲水が食事の際に唱える五観の偈(ごかんのげ)は、料理した人、食事ができることへの感謝を表しています(典座教訓1237年)。蘭学者の杉田玄白(小浜藩)は、飲み過ぎや食べ過ぎを戒め、心穏やかに、適度に運動することが健康長寿の秘訣であると説いています(養生七不可1803年)。石塚左玄は、学童を持つ人は躰(体)育も智(知)育も才育もすべて「食育」が根幹にあると考えるべきであり、さらに、親代々からの食養が大切であると説いています(化学的食長寿論1896年)。今、食育が福井から発信され見直されていることは福井の誇りです。日本赤十字病院初代院長であった橋本綱常(1891年)は、「病は気から」というように、病気になった時には、まず、精神を安静にすることが大切であると説いています。 健康維持のためには食事と運動ならびに健康管理を怠らないことが肝要ですが、福井の先人が提唱してきた「食と生活福井が健康長寿県であることに寄与してきた福井の先人の教えを見直しませんか福井の先人の教えが、福井の健康長寿県に繋がっています健康長寿県である福井には、食と健康を説いた福井の先人の知恵があります 福井には、食と生活習慣について説いた多くの先人がいました。永平寺開山の道元禅師、解体新書を著した杉田玄白、食育を提唱した石塚左玄、そして、橋本佐内の弟の橋本綱常などです。代々伝えられてきた先人の教えが、福井の健康長寿県と深く関わっています。習慣」についての教えは、現代医学でもその輝きを失っていません。このような教えが親から子へ子から孫へと知らず知らずの内に伝えられて福井の風土となってきていたことが、健康長寿県を維持している要因の一つではないでしょうか。改めて、先人の「食と生活習慣」についての教えを見直すことで、健康を保ち病気にならないようにしたいものです。
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