がんばらにゃ2014年4月号
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食の安全安心を考えるVol.17食にまつわるちょっとした疑問について科学ライターの松永和紀さんがわかりやすくお伝えします。PROFILE食品の安全性や環境影響等を取材している科学ライター。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち独立。「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞2008を受賞。消費者団体「FOOCOM」(フーコム)を設立し、「FOOCOM.NET」(http://www.foocom.net/)を開設した。2012年『お母さんのための「食の安全」教室』(女子栄養大学出版部)を刊行。松永 和紀さん意外に多い家庭の食中毒予防の3原則知って 微生物が原因の食中毒はとても怖いもの。腸管出血性大腸菌やノロウイルスは深刻な症状を引き起こし、体調を崩して亡くなる人もいます。ほかにも、腹痛や下痢などの原因となる微生物はいっぱい。家庭でも、ちょっとした不注意が食中毒を招きます。 食中毒の原因となる微生物は多くの場合、自然界にごく普通にいます。食品を正しく扱って、微生物を殺したり増殖を抑えたりすることが大事です。メーカーや流通段階で冷蔵、冷凍や加熱などにより微生物をしっかりとコントロールしていても、購入した後の家庭での保管や調理に問題があれば、食中毒は起きます。厚労省の統計では、食中毒発生施設の11%を家庭が占めていますが、実際にはもっと多いとみられています。 家庭での食中毒の原因となりやすい微生物は、肉に多い腸管出血性大腸菌やカンピロバクター、魚の腸炎ビブリオなどさまざま。身近な食材、卵のサルモネラ属菌も要注意です。親鶏が卵巣に保菌していて卵の中にサルモネラ属菌がすでに入ってしまっている場合と、産卵後に親鶏の便が付き、そこから菌が卵の殻の中にまで入ってしまう場合の二通りの汚染があります。 20年ほど前に、1万個のうち3個の卵がサルモネラ属菌で汚染されている、という報告が出ました。でも、養鶏場の衛生管理は進み、汚染率はうんと下がっています。それに、菌数が少なければ、食べても発症には至りません。だから生卵も食べられるのです。 卵に付いている賞味期限は、菌がもしいたとしても冷蔵保管していれば増えておらず生で食べられる、という期限です。生食するのなら、必ず守ってください。ただし、ヒビが入っていた卵は生食は避け、加熱してから食べましょう。賞味期限が切れた卵も、しっかりと加熱すれば殺菌できて食べられます。なるべく早めに食べるのを忘れないで。 卵を調理した時に、ふっくらトロトロをめざすあまり加熱が不足して菌が生き残り、それがしばらくたつうちに増殖して食中毒に、という事例もあります。従って、卵料理もできるだけ早く食べてください。お弁当に卵焼きを入れる場合には十分に加熱して。暑い時期はお弁当箱に保冷剤を添えましょう。 さまざまな微生物が引き起こす食中毒対策に共通するのは、「付けない」「増やさない」「やっつける」の3原則です。注意して、健康を守りましょう。生卵は賞味期限守って食べて自然界に多くいる原因となる微生物食中毒予防の3原則主な方法付けない原因となる微生物を食品に付けない増やさない微生物を食品中で増殖させないやっつける微生物を殺したり不活化する•調理や食べる前にしっかりと手を洗う•肉や魚と、生で食べる野菜などを扱うまな板、包丁、 調理器具などを、使い分ける•食品を保管する時には、冷蔵や冷凍で•冷凍冷蔵庫は過信せず、早めに食べる•加熱により多くの微生物は、死んだり活性を失う (加熱では死ににくい微生物もいるので、過信はせず、 加熱後は菌が増えないうちに早めに食べる)•熱湯や台所用殺菌剤で、ふきんや調理器具などの消毒をする2014.4月号4
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