がんばらにゃ2014年9月号
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2014.9月号4食の安全安心を考える食の安全安心を考えるVol.19食にまつわるちょっとした疑問について科学ライターの松永和紀さんがわかりやすくお伝えします。PROFILE食品の安全性や環境影響等を取材している科学ライター。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち独立。「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞2008を受賞。消費者団体「FOOCOM」(フーコム)を設立し、「FOOCOM.NET」(http://www.foocom.net/)を開設した。2012年『お母さんのための「食の安全」教室』(女子栄養大学出版部)を刊行。松永 和紀さん遺伝子組換えの安全性厳しい審査が行われています 遺伝子組換え技術を不安に思う人が多いようです。画期的な技術なので不安、心配は当然で、科学的な情報を基に考える必要があります。ところが、世間にはデマや誤解がいっぱい。惑わされずに冷静に検討し、食品を選びましょう。 遺伝子組換えは、生物に、ほかの種類の生物の遺伝子や人工の遺伝子を外から導入する新しい品種改良の技術です。この技術を用いると、これまでと際立って違う性質を持つ作物を短期間で開発できます。除草剤耐性大豆や害虫抵抗性とうもろこし、干ばつに強いとうもろこしなどが実用化されています。 ただし、「自然には起きない」と警戒感を強く持っている人たちもいますので、商用栽培の前に安全性試験が要求され、非常に厳しい審査が行われます。日本では食品安全委員会や厚労省、農水省などの設置した審議会、検討会が審査します。食べた場合の安全性については、導入する遺伝子やそれを基にできるタンパク質の安全性、アレルギーを誘発する可能性などについて検討します。栽培時に周辺の生態系に深刻な影響を及ぼす恐れがないかなども調べ考察します。そのうえで、問題がないと判断されたものだけが認可されています。 国内では種苗会社が遺伝子組換えの種子を販売しておらず、花を除き栽培されていません。輸入は年間約1800万トン。大豆や菜種などは食用油となり、その搾りかすが家畜の飼料や肥料となっています。とうもろこしは、飼料や異性化液糖(清涼飲料水などの甘味づけ用)に。豆腐や納豆を心配している人が多いのですが、これらの原料の大豆は一般に、食用油用とは品種が異なり、組換え技術は用いられていません。 遺伝子組換え作物の栽培が始まってもう20年。認可後に安全性に懸念が生じて、認可取り消しとなった事例はありません。ところが、マスメディアやインターネットには不安をあおる情報がはんらんしています。間違った情報に振り回されるのは避けたいもの。食品安全委員会、農業生物資源研究所など国の組織や研究機関などが情報提供していますので、調べてみてください。遺伝子を外から導入特徴ある作物できる情報に惑わされず冷静に判断を日本で食品として安全性を確認され認可されている遺伝子組換え作物大豆(15品種)てんさい(3品種)とうもろこし(198品種)菜種(19品種)綿(43品種)アルファルファ(3品種)パパイヤ(1品種)じゃがいも(8品種)出典:厚労省ウェブサイト(2014年4月現在)全部で290品種あるが、商業的な価値を失いすでに栽培されていない品種も多く、じゃがいもは流通していない。①遺伝子組換え作物の使用に関す る情報提供を行います。②遺伝子組換え原料を使用しない 商品の開発や取り扱いをすすめ ます。③ただし、食品の安定供給の視点 から、遺伝子組換え食品を排除 する対応は行いません。県民せいきょうの遺伝子組換え食品への対応《宅配サービスたんぽぽ便では、チラシ(コープファミリー・ふくい〜な)で遺伝子組換えに関する情報をお伝えしています》遺伝子組換え表示遺伝子組換えでない主原料は遺伝子組換え不分別主原料には遺伝子組換え不使用と不分別が混在主原料は遺伝子組換えでない食品安全委員会(http://www.fsc.go.jp)農業生物資源研究所(http://www.nias.affrc.go.jp/index.html)<情報を提供している機関>

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