がんばらにゃ2015年1月号
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食の安全安心を考える食の安全安心を考えるVol.21食にまつわるちょっとした疑問について科学ライターの松永和紀さんがわかりやすくお伝えします。PROFILE食品の安全性や環境影響等を取材している科学ライター。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち独立。「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞2008を受賞。消費者団体「FOOCOM」(フーコム)を設立し、「FOOCOM.NET」(http://www.foocom.net/)を開設した。2012年『お母さんのための「食の安全」教室』(女子栄養大学出版部)を刊行。松永 和紀さんヒスタミン食中毒ブリ、サバ、マグロ…注意を ブリやサバ、マグロなどいわゆる「赤身魚」で発生する食中毒があります。原因は化学物質ヒスタミン。魚の保存が悪いと自然にできてしまい、アレルギーのような症状を引き起こします。赤身魚は速やかに食べるか、冷凍、冷蔵しましょう。 赤身魚には、アミノ酸の一種であるヒスチジンが多く含まれています。白身魚の100〜1000倍ほどもあります。そして、生魚を室温でしばらく置くなどすると、ヒスチジンをヒスタミンに変えることができる特定の細菌が増殖してヒスタミンが増えます。ヒスタミンを多く食べると、数分から30分くらいで顔や耳たぶなどが紅潮し、頭痛やじんましん、発熱などの症状が出ます。たいていの場合、6〜10時間くらいで症状はおさまり回復し、死に至ることはありません。 ヒスタミンは加熱しても壊れないので、生の魚だけでなく、加熱した魚も食中毒の原因となります。どれくらいの量のヒスタミンに反応するかは、人によって大きな差があり、大人は少ない人で数十㎎程度を食べて症状が出る場合もあるようです。厚生労働省の食中毒統計では、年間に数百人の患者が発生していますが、これは医療機関などに届出があった数字。実際の発症例はもっと多いとみられています。 農水省が魚の干物などのヒスタミン量を調べたところ、多くは検査で検出できないほど少なかったのですが、サンマ丸干しでは1㎏あたり最高2500㎎のものがありました。100g食べるとヒスタミンを250㎎摂取することになり、症状が出ても不思議ではありません。このほか、イワシ丸干しやサンマ燻製品、サバ類ぬか漬け(へしこ)などさまざまな加工品で、含有量が高いものが見つかりました。 干物だけでなく缶詰、生の魚を調理したフライや照り焼きなど、さまざまなメニューで食中毒事故が起きています。防ぐには、赤身魚を食べたり加熱調理したりするまでの保管時に、しっかりと冷凍、冷蔵するなどして、ヒスタミンを作る細菌が増えないようにするしかありません。福井の人はブリやサバが大好きですね。海の幸がふんだんにある地域だからこそ、要注意なのです。おいしいへしこも、食べすぎには気をつけて。 日本では食品に基準は設けられていませんが、業界団体などが食中毒防止マニュアルを作って、厳しい管理を事業者に求めています。家庭でも赤身魚を室温で長時間置いておくと、事故につながりますので、注意してください。ヒスタミンを作る細菌は普通に海にいるので、生や干物の魚であれば付いていると思った方がいいのです。冷凍しても、ヒスタミンを作る酵素は活性を失わないので、解凍して室温に放置してしまうと、ヒスタミンが増えます。 特に、照り焼きや漬け焼きは、調味液に漬ける間に菌が増殖して食中毒につながった事例が多くありますので、さっと漬ける程度にしてください。赤身魚食べ発症加熱しても壊れないフライ、照り焼き…家庭でも気をつけて主な食品のヒスタミン濃度赤身魚の加工品の多くは定量限界未満だが、一部の製品はヒスタミンの含有量が高い。濃度の高い食品でも、食べる量がわずかなら発症しないが、大量に食べるとヒスタミン摂取量が多くなり、症状につながる。出典:農水省有害化学物質含有実態調査(平成23~24年度)食品名サンマ燻製品サバ類ぬか漬けサンマ丸干しイワシ丸干し120142130104105 62124 551,1001,9002,5001,700 45 320 44150試料点数最大値(mg/kg)平均値(mg/kg)定量限界(30mg/kg)未満の点数2015.1月号4

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