がんばらにゃ2015年3月号
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食の安全安心を考える食の安全安心を考えるVol.22食にまつわるちょっとした疑問について科学ライターの松永和紀さんがわかりやすくお伝えします。PROFILE食品の安全性や環境影響等を取材している科学ライター。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち独立。「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞2008を受賞。消費者団体「FOOCOM」(フーコム)を設立し、「FOOCOM.NET」(http://www.foocom.net/)を開設した。2012年『お母さんのための「食の安全」教室』(女子栄養大学出版部)を刊行。松永 和紀さんトランス脂肪酸問題間違った情報を見破って トランス脂肪酸について依然として不安を抱いている人が多いようです。ほとんどの日本人は問題になるほど食べていないのに、インターネットなどで「マーガリンが危ない」といった間違った情報が流され、惑わされているのです。たしかな情報を基に、判断しましょう。 トランス脂肪酸は、人の体に悪影響を及ぼすLDLコレステロールの血中濃度を増やし、多い方がよいとされるHDLコレステロールを減らすとされています。また、摂取量が多いと心臓疾患のリスクが上がるとされ、世界保健機関(WHO)が、毎日の全摂取エネルギーの1%未満とするように求めています。マーガリンやショートニングなど、液状の油を固形化した油脂に多く含まれており、これらを原材料として多く使う菓子パンやケーキ、揚げ物などにも注意が必要です。 米国などトランス脂肪酸の摂取量が多く、心臓疾患の患者が増加している国では、加工食品中のトランス脂肪酸含有量表示を義務化したり、企業に法律に基づき低減を命じたりするなど、厳しい規制が目立ちます。一方、英国は「トランス脂肪酸含量を減らそうと原料や製法を変更すると、よくない飽和脂肪酸の含有量が増える場合がある」などとして、企業や消費者に注意を求める程度に留めています。国によって食生活は大きく異なり、対応も違って当然です。 日本人もトランス脂肪酸の摂取量は少なく、食品安全委員会の評価書によれば平均摂取量はエネルギー比の0・3%。国民の99%は、全エネルギー摂取量の1%未満でWHOの勧告数値を下回っています。そのため、規制も英国型で、農水省が企業に低減を指導するなどしています。日本人は、トランス脂肪酸よりも食塩の摂り過ぎなど、ほかの問題の方が深刻であり、トランス脂肪酸のみにこだわるのではなく、「脂質に偏らずバランスのとれた食生活を送るのが重要だ」というのが、国の設置した検討会などでの専門家の見解です。 ところが、「米国すら規制しているのに、日本は野放し」などと不安を煽る評論家やジャーナリストが後を絶たないのです。「トランス脂肪酸は食べるプラスチックで、危険」と主張する人もいますが、あまりにも非科学的です。 日本生活協同組合連合会のマーガリンは製造方法の改善を重ねており、わずかなトランス脂肪酸しか含みません。日本生協連や食品安全委員会、農水省などのウェブサイトを調べたり、生協に直接尋ねたりするなどして確認し、間違った情報に振り回されないように気をつけていただきたいと思います。脂質に偏らずバランスよい食事を日本生協連などの主な製品の含有量(1食=10gあたり)日本生協連の製品のトランス脂肪酸などの含有量は、他メーカーとあまり変わらない。トランス脂肪酸は1gあたりの熱量が9kcalなので、1食あたりのトランス脂肪酸によるエネルギー摂取量は、日本生協連  コーンマーガリンでは0.45kcalに留まる。日本生協連  コーン  マーガリン日本生協連  NEWソフトA社マーガリン50mg2.6g0.2mg飽和脂肪酸74kcal40mg1.9g0.1mg59kcal80mg2.4g0.1mg64kcalエネルギーコレステロールトランス脂肪酸2015.3月号4

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