がんばらにゃ2017年6月号
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 皮に張りがあり、実はやわらかく、みずみずしく甘酸っぱいミディトマト。通常、ミディトマトの糖度は5〜7度程度ですが、山下農園は過去最高で18度の糖度を記録したほど完熟した甘さが自慢です。「でも、ただ甘いだけじゃダメで、最近は糖度は10度あれば充分と思っています。一番のこだわりである完熟での収穫で、甘さと酸味のバランスの良いものをつくりたいですね」と語る山下さん。 甘さの秘密は、「完熟での収穫と水と肥料を極力少なめにする栽培」にあると言います。例えば、3月に植えた場合、4月上旬頃に追肥という形で肥料を与えた後は、葉の色や背の高さなど木の状態を見極めてなるべく控えるそう。水は6月まで定期的に与え、その後はハウスに吹き込む雨や通路にまく水などで潤すようにします。「そうすると、トマト自身が身を守るために甘くなるんですよ」。 化学肥料をおさえた減農薬やマルハナバチによる自然交配などを行い、福井県特別栽培農産物の認証も受ける山下さん。収穫からパック詰めまでひとりで手がけるトマトづくりの魅力は、「手をかければ手をかけるほど、美味しくなるところ」とやさしく微笑みます。 山下さんは、実は神戸市の出身。15年前に脱サラし、福井県にIターンしました。「はじめにあわら市で農業研修を受けたとき食べたミディトマトが、すごく美味しかった。それまでは味がないトマトしか食べたことがなかったんです」と振り返ります。福井に来て半年後に家族を呼び寄せ、1年後に独立。当初は移住に反対だった奥さまですが、今はミディトマトに添える手水と肥料を抑えることで甘く熟するミディトマト書きのメッセージカードを担当しています。福井に来て間もなくは「自然に慣れていなくて、雑草まで怖がった」というお子さまも、たくましく成長中。「福井に来て良かったと思っています」と笑顔を見せます。 今はすっかり福井に馴染み、たんぽぽツアーなどで組合員のみなさんとの交流を深める山下さん。「落ち込んだときに、〝子どももミディトマトが大好き〞、〝いつも楽しみにしています〞といったメッセージが届くと、よっしゃ〜!って元気になりますね」とニッコリ。感謝の気持ちを届けるべく、「これからも、美味しいミディトマトをつくる。ただそれだけです」と表情を引き締めました。美味しいミディトマトを追求して、福井県に移住組合員と生産者がともに育てあう生協の産直オススメの食べ方お弁当には、「細菌が増えないよう、ヘタを取り、洗った後しっかり水をきって」とアドバイス。洗ってヘタを取り、水気を拭き取って保存袋に入れ冷凍すれば、煮込み料理などに便利。凍らせたトマトは、水につけるだけで簡単に皮がむけますよ。完熟の甘さと酸味のバランス 山下さんのミディトマト山下農園山下農園(あわら市)山下 茂人さん神戸市出身。1年間の農業研修を経て、あわら市で農園を営む。12.5アールのハウスで、ミディトマトやインゲンを栽培する。Profile▲手書きのメッセージカード▲たんぽぽツアーの様子サラダやソースの他、炒める、焼く、煮込むなど、どんな料理もトマトのうまみが美味しさをアップしてくれます。「でも、生でそのまま丸ごとガブッとかぶりつくのが、やっぱり一番!切ったらあかん!」と笑う山下さん。豆知識〈次回6月3・4回(ふくい~な)〉〈予定〉宅ハ2017.6月号2

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