がんばらにゃ2017年9月号
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Vol.21おひとりさまの最期9月に開催する「くらしの見直し講演会」で講師にお迎えする 上野千鶴子さんに「おひとりさまの最期」についてご紹介いただきました。 わたしが『おひとりさまの老後』(法研出版、2006年)を出してから、『おひとりさまの最期』(朝日新聞出版、2015年)を出すまでに9年間。その間の社会の変化は急速でした。高齢者世帯のおひとりさま率は4世帯に1世帯。夫婦世帯が3割台ですから、この方たちはおひとりさま予備軍。いずれ近い将来に高齢おひとりさま世帯は5割を超すことになります。家に同居家族がいても、昼間働ける人はみな出払って、要介護のお年寄りが家にいても、ほぼ日中独居状態。嫁が介護することが当たり前だった時代は、とっくに過去になりました。家族の介護力をあてにできない要介護高齢者を在宅で支えるしくみが必要になっています。 お年寄りはお家が本当にお好き。「家にいたい」はお年寄りの悲願ですが、そののぞみが叶わないのはどうしてでしょう?それに「家にいたい」は「家族と共にいたい」と同じ意味ではないこともわかってきました。たとえ独居でもお年寄りはお家にいたいと思っておられます。お年寄りの在宅を最期まで支えて、家でお見送りするにはどうしたらいいのか?それがわたしの研究課題になりました。 『おひとりさまの老後』を書いたのは、お年寄りがひとりで暮らしていると「おさみしいでしょう」という挨拶が降ってくる、よけいなお世話だ、と言いたいためでした。『おひとりさまの最期』を書いたのは、誰にも看取られずにひとりで家で死んでも「孤独死」と呼ばれたくない、と思ったからでした。だからすっきりさっぱり「在宅ひとり死©Chizuko Ueno」と呼びたいと思います。 およそ10年前、この研究を始めた頃には、「在宅ひとり死ができますか?」という問いに、どなたも口をそろえて「同居家族がいないと無理」というお答えでした。それがここ数年、急速に答えが変わってきました。「外野のノイズが少なければ少ないほどやりやすい」と。いちばん大事なのは、どういう生き方死に方をしたいかの「ご本人の意思」です。 介護保険ができてから17年。在宅看取りの現場がどう変わってきたのか、9月の講演会では最新の情報をもとにお話したいと思います。「家にいたい」は年寄りの悲願「在宅ひとり死」のススメ大切な意思決定支援 高齢おひとりさまが急速に増え、政府も在宅誘導に踏み切った今日。家族の介護力をあてにできないおひとりさまが、最後まですみなれた家で過ごすにはどうすればよいかが課題になっています。おひとりさまの運命は将来のあなた自身の運命。他人ごとと思わずに考えてみましょう。おひとりさまの最期プラチナ終活フェア 講演会LPAの会PROFILE1948年富山県生まれ。京都大学大学院社会学博士課程修了。社会学者・東京大学名誉教授・認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。専門は女性学、ジェンダー研究。この分野のパイオニアであり、指導的な理論家のひとり。高齢者の介護問題にも関わっている。WAN URL:http://wan.or.jp/上野 千鶴子さん(菅野勝男撮影)9/23(土・祝) 13:30~15:00県民せいきょう 本部センター 3F レインボーホール500円上野 千鶴子氏100人(申込先着順)15ページコールセンター時講定¥所申おひとりさまが増えた※同日15:00~16:00には、「エンディングノート」「生前整理」 「葬儀の費用とマナー」などのミニ学習会を開催します。2017.9月号4

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