がんばらにゃ 2020年2月号
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通信 2019年度の総研究数は41事例。昨年度同様、研究テーマを生協福祉のケア指針である「10の基本ケア」とし、ポスターセッション形式で発表を行いました。 職員アンケートにより一番印象に残った事業所には、小浜きらめき 訪問・通所介護が取り組んだ『変化し続ける利用者様と私たち 〜K様の体調の変化、心情の変化に応じて、本人の思いに寄り添うことができるか〜』が選ばれました。訪問や通所職員が利用者に関わる中で、言動や気づき、家族の思いについて記録をとり、その内容を分類した上で統一した関わりに向けたケア会議を重ね、実践した研究です。事例研究の対象者の言動に捉われるのではなく、その真意を汲み取り、明確な根拠に基づいたケアを行ってい「あなたらしさいつまでも」をめざして〜第4回 高齢者介護 事例研究発表会からの報告〜高齢者介護施設きらめきでは、全13拠点で実践している取り組みを職員同士が共有し、グループ全体のサービスの質の向上と、根拠あるより良い介護実践につながることを目的に、毎年事例研究発表会を開催しています。くことの大切さが明らかになりました。 次点には、岡保きらめき グループホームの『動かんとくと、なまってまうざ』が選ばれました。認知症の発症により家族とも疎遠になる中でグループホームに入居し、孤独や不安から暴言やトラブルが多くなった対象者。その言動を「心の変化グラフ」に記録し、背景や要因を探り支援したことを報告しました。 発表を聞いた職員からは、「チームケアを行う大事さを実感した」「やりたいこときらめき通信 ミニ講座検索バックナンバー「VR(バーチャル・リアリティ)認知症体験会」を開催 昨年度も好評だったVR(バーチャル・リアリティ)を用いた認知症体験会を開催しました。参加された方には、実際には見えないものが見える「幻視」症状を特徴とした「レビー小体型認知症」の世界や、若年性認知症当事者である丹野智文さんへのインタビューをもとに作られた物語などを、ご本人の視点で体感していただきました。 「徘徊」「暴言・暴力」などは、「認知症」だから起こす行動と思われがちです。しかし実はご本人を取り巻く周囲の理解やコミュニケーションが大きく影響していることが多いのです。 そういった広く知られる「認知症」に対する誤解や偏見を少しでも減らし、「私たちに何ができるのか」を考える機会になったのではないかと思います。2020年度も開催を予定しております。11月22日(金) サンドーム福井 / 23日(土・祝) 県民せいきょう 本部センター・坂井地域交流センターいねす にて(参加者 138人)❶換気をする 新鮮な空気を取り込み衛生的な空間に することで、病気にならない環境づくり❷床に足をつけて座る 足を使う習慣で、身体や脳を刺激しながら 生活行為が自分でできる体づくり❸トイレに座る トイレで排泄する“あたり前”の習慣で 自尊心が高まるサポート❹あたたかい食事をする 親しい方との食事の楽しみを継続し、 活力や栄養状態を高めた身体づくり❺家庭浴に入る 湯船にゆったりとつかり、温浴効果を取り込んだ くつろげる生活づくり❻座って会話をする 落ち着いた雰囲気で、不安や将来への希望を 話し合える人間関係づくり❼町内にお出かけをする 外に出かける習慣で生活リズムを整え、 地域の人々とのつながりづくり❽夢中になれることをする 自分の「したいこと」「したかったこと」に 夢中になれる機会や居場所づくり❾ケア会議をする くらし方やサポートの方向性をご本人、ご家族、 関係者と行う対話の場づくりターミナル(終末期)ケアをする 最期までご本人らしく過ごすための医療・福祉・ 介護による連携したサポートづくりを実現していくことで、次第に感情的ではなくなっていったことが印象的だった」などの感想が聞かれました。 今年、オブザーバーとして参加いただいた福井県介護福祉士会 松ヶ平理事からのお言葉「介護は医療とは違う。介護には介護にしかできないことがある。」を考えて実行するために、これからも利用者の声に耳を傾け、思いに寄り添い、望む生活の実現に向けた支援に取り組んでいきます。10の基本ケア(ケア指針)2020.2月号10

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