がんばらにゃ 2020年5月号
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食にまつわるちょっとした疑問について科学ライターの松永和紀さんがわかりやすくお伝えします。Vol.46新型コロナ防ぐ「手洗い」食中毒予防にも有効です 新型コロナウイルスが人から人へと広がるルートの1つが、「接触感染」です。感染者がくしゃみや咳をする時に手で押さえ、その手でなにかに触れ、それにほかの人が触れることでウイルスがうつります。手をすぐに洗ってウイルスを除去できればよいのですが、うっかりそのまま、自分の口や鼻を触ると、ウイルスが体の中に入ってしまい感染する場合があります。そのため、手をひんぱんに洗って、ウイルスを除去するのが効果的なのです。 特に外出から戻ってきた時には、外で付いたウイルスを家の中に持ち込まないように、すぐに手を洗うとよいでしょう。 手洗いは、新型コロナ対策だけでなく、食中毒防止にも効果的。ノロウイルスや黄色ブドウ球菌など、食中毒の原因となる多くの微生物が、新型コロナウイルスと同様に手を介してうつります。 食品工場では、食中毒を防ぐために、高価な装置がさまざま設置されていますが、最も重要なのは作業者の「手洗い」というのが常識です。家庭でも食中毒は発生します。生産者や加工事業者がどんなに微生物に注意して食品を製造加工し運んできてくれても、消費者の段ノロウイルス、黄色ブドウ球菌…手を介してうつる石けん、お湯でていねいに菌、ウイルスを洗い流す 手洗いは、水で流すことによってある程度は微生物を除去できますが、石けんやハンドソープを用いると微生物が不活化しやすく、手にこびりついた汚れと共に取れやすくなります。抗菌石けん▲手洗いの仕方を伝える 厚生労働省ポスター 新型コロナウイルス感染症を防ぐため、手洗いと咳エチケット(マスクやティッシュ・ハンカチ・袖を使い、口や鼻を押さえる)が求められています。特にていねいな手洗いがとても大事。ご紹介しましょう。をわざわざ用いる必要はありません。お水を使うと冷たくて、どうしても洗い流す時間が短くなるので、お湯でしっかり洗い流しましょう。 2度洗いすれば、さらに効果が上がります。洗った後に拭くタオルも気を付けて。何度も同じタオルを使っていると、タオルに付いた菌が増殖し手に付くことが確認されています。 食品工場では新しいペーパータオルを用いています。家庭で布タオルを用いる場合は、なるべく共用せず毎日取り替えた方がよいようです。アルコール消毒は念のためのもの。アルコールを入手できなければ、しなくても構いません。 新型コロナ対策を契機に、家族全員で帰宅時や調理前、食前などの手洗いを習慣づけて、健康管理をレベルアップしましょう。PROFILE食品の安全性や環境影響等を取材している科学ライター。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち独立。「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞2008を受賞。農林水産省獣医事審議会委員、消費者委員会食品表示部会委員などを務めている。新刊は「効かない健康食品 危ない自然・天然」(光文社新書)。松永 和紀さん階に問題があり食中毒につながる、というケースが実は、少なくないのです。2020.5月号4
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